NHKスペシャルで特集された糖尿病と関わりがつよい血糖値スパイク(グルコーススパイク)の症状から原因、賢い予防法をまとめます。 健康診断の血糖値が「正常」で血糖値スパイク(グルコーススパイク)には害とする人が居るのであなたもチェックしてみてください。
血糖値スパイク(グルコーススパイク)とは
NHKスペシャル~糖尿病・心筋梗塞の新対策~
2016/10/8のNHKスペシャル~糖尿病・心筋梗塞の新対策~ にてつけられた造語です。 正しくは”グルコーススパイク(Glucose Spikes)”と言い、血糖値が急上昇を繰り返すことで体に不調が起きる現象です。
血糖値とは
血液中のブドウ糖の濃度のことです。 空腹時に大人で100ミリリットル中70~110ミリグラム、食後2時間で80~140ミリグラム程度が正常値とされています。
食べた糖質はグルコースとなって活動エネルギーになります。しかし多すぎる糖は正常な細胞を破壊してしまうため、インスリンによってグリコーゲンになり肝臓や筋肉に貯蔵さます。
それ以上は中性脂肪として脂肪組織に蓄積することになるのでこの時に太っていきます。つまりこの流れのどこかに問題があると、血糖値が正常に保たれなくなり、糖尿病の原因になるわけです。
危険でも健康診断では「正常」
なぜ糖尿病の診断で「正常」でもなぜ血糖値スパイク(グルコーススパイク)になるのか? それは、食後の2時間程度だけ血糖値が急上昇し、その後の血糖値は正常になるからです。 健康診断の血糖値測定は、「空腹時血糖値」ですので、朝食は抜いてくるように指示されますよね。
つまり血液検査での血糖値は、あくまで空腹時なので検査では正常ですが、NHKスペシャルでの特集内容は、あくまで食後に血糖値が急激に上下してしまう症状だからです。
糖尿病との違い
ちなみに糖尿病は、いつでも血糖値が高い状態の病気です。 そのため血糖値スパイク(グルコーススパイク)は、糖尿病予備群に起きる症状とも言えるわけです。
健康な人は血糖値が上がっても、インスリンというホルモンによって血糖値は安定します。 しかし糖尿病は、先天的に膵臓が弱くインスリンが分泌できない(1型)や、生活習慣によって膵臓の機能が低下し、インスリンの分泌や効果が低下する(2型)というどちらかの状態になってしまうことです。
日本糖尿病学会の基準では、空腹時血糖値が~110mg/dLかつ食後2時間血糖値が~140mg/dLだと正常型。 空腹時126mg/dL~または、食後200mg/dL~だと糖尿病型。 どちらにも属さないものを境界型と分類しています。
血糖値スパイク(グルコーススパイク)の症状
糖尿病の前段階と言われるように、これだ!という症状がわかりにくいのも特徴です。 代表的な症状は「眠い」、「お腹が空く」、「精神的に不安定」のこの3つです。ほかの症状も、この3つから派生するものがほとんどです。
ランチなど、食後の後に眠くなる
午後の授業や会議でウトウト・・・ これが普通だと思ってる人もいるのですが、まさにこれが血糖値スパイク(グルコーススパイク)の代表的な症状です。
玄米から白米など、戦後の食生活の変化による影響が大きいので、昼食を食べたら眠くなるのが普通だと思っている人もいるでしょう。
以前「駆け込みドクターの健康診断」で、お笑いタレントの長州小力さんが糖尿病の疑いの取材をしていたときに、食事中にも眠ってしまうというのもありました。
食べてもお腹が空いてしまう
しっかり、がっつり食べているのにやたらとお腹が空き、空腹感に振り回される。 ちょっと小腹が空くくらいならいいのですが、朝からランチのこと、昼から夜は何を食べようか。などと考えてしまう人もいますね。
また、お腹が空きすぎて元気がでない、動くのもおっくうなくらいにエネルギー不足を感じてしまうなどの症状もあります。
イライラ、カリカリ、感情的に不安定
まったく食事と関係なさそうですが、機嫌や気分にも大きく影響します。 有名なのがペットボトル症候群です。 砂糖を摂ることで精神が安定しなくなり、キレやすい、精神的に不安定になることもわかっています。
ちゅっとしたことで怒ったり、対人ストレスが多くなるので注意が必要です。
細胞の死滅
イタリアの最新研究で、そのメカニズムが突き止められました。血管の内壁の細胞を糖分の多い液と少ない液にかわるがわる浸し、“血糖値スパイク”が繰り返し起きている状態を再現したところ、細胞から大量の「活性酸素」が発生することが判明。活性酸素は、細胞を傷つける有害物質です。“血糖値スパイク”の状態を2週間続けると、細胞のおよそ4割が死んでしまいました。これにより動脈硬化が進行し脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが増加。さらに、細胞のガン化を招いたり、脳にダメージを与えて認知症になり易くなることも分かってきているという。 出典:Nitewatch
イタリアの研究で分かってきたのが、メカニズムと深刻なダメージです。 血糖値スパイクを実験的に起こし、血管の細胞をつかい、糖分比率を高い液体と低い液体にさらすと大量の「活性酸素」が発生したそうです。
活性酸素は病気や疲労の原因でもあり、実験を2週間続けると、細胞のおよそ4割が死滅という恐ろしい結果になったそうです。そのため、がんの原因や脳細胞からの認知症の予防研究も行われています。
細胞の死滅を実感することはなかなかできないでしょうが、上記のような症状が発生しているということは、体内で何らかの異常が発生しているからかもしれませんね。
血糖値スパイク(グルコーススパイク)の原因
上記の症状を招くのも、血糖値のコントロールができていないから。 といっても現代の食生活の問題が大きいので、できるところから改善してみるといいでしょう。
オレキシン
15年前に「オレキシン」という新しい脳内の情報伝達物質を発見しまして、実はそのことが睡眠研究へのきっかけになりました。発見した当時は、食欲を促す物質だと考えていましたが、「オレキシン」をつくる遺伝子を破壊したマウスを観察していたところ、摂食量が減ると同時に、突然眠り込む睡眠発作を繰り返していることが分かり、これが、突然眠気に襲われる病気「ナルコレプシー」であることを突き止めたのです。 出典:脳内の情報伝達物質「オレキシン」が睡眠と覚醒を制御 柳沢 正史 氏
脳内ホルモン(神経ペプチド)のオレキシンは、活動するためのホルモンですが、満腹になると分泌量がへるために眠くなります。 このオレキシンは発見された当時(1988年)には「食欲を増やすホルモン」として発見されました。
そしてのちの研究で、このオレキシンが不足すると”ナルコレプシー(睡眠発作)を起こすことも明らかになりました。つまり、満腹になりすぎるとオレキシンの分泌が少なくなり、そのために眠るということです。
グルコース
もう1つの理由がグルコースの減少によるもの。 グルコースは活動エネルギーですから、不足することによって眠気と言うよりも活動できなくなってしまうから。 血糖値が140mg/Dを超えると、糖をおしっことして糖を捨てるために腎臓が水分を排出します。
この時に必要なグルコースは腎臓で再吸収されるのですが、一時的に血糖値が高い時にはそのまま排出されます。おしっこが甘いにおいの時ですね。 しかし時間が経つと、グルコースを捨ててしまったためにブドウ糖不足になってしまうわけです。 そして活動エネルギーが不足しているため、空腹になります。
脳内ホルモン
イライラ、カリカリなどの情緒不安定の大きな原因は、脳内ホルモンの影響をうけます。 血糖値が急激に下がると、血糖値を急激に戻すためにアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。
アドレナリンは「興奮のホルモン」動悸、心悸亢進、不安、過敏、振戦、高血圧をおこします。 ノルアドレナリンは「怒りのホルモン」で、怒りや恐怖心を発生させます。 また自律神経とも深い関わり合いがあるので、交感神経も興奮させます。
この急激な血糖値の急上昇は急下降は砂糖を摂ると起こりやすくなります。 そのため砂糖を大量に含むジュースやスポーツドリンクに由来して「ペットボトル症候群」という症状もあります。子どもがキレる、というのも仕組み的には同じです。
血糖値スパイク(グルコーススパイク)の対策
NHKのサイト
“血糖値スパイク”危険度チェック!のサイト(http://www.nhk.or.jp/special/kettouchi/check/index.html)に番組でのチェックができます。 が、食事後に眠くなればチェックするまでもなく該当しますので気をつけてください。
本質的な食事
つきつめてしまえば、ある意味食事がすべてと言えます。 例えば玄米から白米に切り替わったときに脚気で大勢の人がビタミンB不足で死にました。 白米では栄養が足りなかったからですね。 この場合、白米を辞めた人は脚気も治ったわけで、血糖値スパイク(グルコーススパイク)も本質的には食事の改善です。
でも急激に食生活をガラリと変えるのは、アスリートやがん患者など本気の人でもなければ、なかなかできません。 そこで、小手先ではあるものの、今日からできる対策をまとめてご紹介します。
食事量を減らしましょう
栄養バランスとの兼ね合いにもなりますが、肥満の人が食べ過ぎなのは当たり前ですが、一般人でも食事量を減らすだけで体への負担も減らせます。 年をとると食事量が減るのはあたりまえの話です。
ここで気をつけて欲しいのは、食べ物を残さないことです。 食べ過ぎるな!というのに矛盾しているようですが、食事をコントロールしたほうがいいですよいうことです。 外食でも、最初に「ご飯少なめで」。 見てご飯が多ければ減らしてもらえばいいだけです。 嫌いなものは断ってください。 ※ネギ抜きのように
食べてみて食べきれないって、今まで何回食事をしてきたのか?って話です。 フードファイター もえのあずき の挑戦じゃないんだから。 自分の食事、たった30分後の未来くらいは予測できるようになるだけです。
糖質を減らしましょう
糖質制限ともちょっと違うのですが、そもそも食べ過ぎです。 これが食事ならまだよいのですが、スイーツ、お菓子、ジュースとなると糖分ばかりでそりゃ体を壊すのもしかたありません。
ちなみにビールなども同じですが、締めにラーメンやそばを食べたくなるのも、糖分の取り過ぎで血糖値が下がっているので、糖分を上げるための欲求です。 気をつけましょう。
GI値の高いものを避けましょう
GI値=グリセミックインデックスといい、食べ物がブドウ糖に分解されるまでのスピード指数です。ブドウ糖を摂った時の血糖値上昇率を100として比較します。食品中の単糖比率が高いほど100に近づくわけですね。
GI値が高いと、ブドウ糖を直接摂っているのに近いので、体への負担も大きくとても危険です。
GI値の代表的な食品を挙げます。
GI値が高いもの
- 食パン・95
- フランスパン・95
- 白米・90
- おもち・85
- うどん・85
GI値が低いもの
- 玄米・55
- ライ麦パン・55
- バナナ・55
- りんご・36
- 納豆・33
よく「白米」より「玄米」がいいよ、というのも栄養価の問題だけでなくGI値でもハッキリしています。 全食品の調査は無理ですが、ちょっとしたこつがあります。 それは、加工・精製の状態です。
上記で言えば、「玄米」と「白米」と「おもち」は同じにできます。が、GI値が変わるのは、白米は精製されているからで、お餅はつくことで化学変化を起こしているからです。単糖に近づけば近づくほどブドウ糖に近いために危険、ということです。
もちろん個人差もありますので、詳しく知りたい方は「GI値一覧」などでチェックしてみましょう。
ゆっくり食べましょう
上記の個人差になりますが、よく噛んでゆっくり食べることです。 早食い賞賛のルーツは戦争時の時短でしかありません。戦争は終わっているので、ゆっくりと食事をしましょう。 これだけで体内に糖分が入るスピードが遅くなります。
また、1口で30回は噛みましょうといわれれるのは、食事スピードだけではありません。 唾液に含まれる消化酵素”アミラーゼ”の働きで、デンプンを分解します。 逆に考えると人間は、、分解を必要としない糖分は摂取するようにはできていない、ということでもあります。
食物繊維を先に、多く食べる
最近言われるようになったことで、小手先の代表ですが一応書いておきます。 野菜は食物繊維が豊富なため、食事での血糖値の上昇スピードを緩やかにします。
日本ではいまだにがん患者が増え続けていますが、アメリカではすでにがん対策ができて患者自体を減らしています。 その政策は「ファイブアデイ」。1日に野菜を5カップ程度は食べましょう、ということで肉を減らして野菜を中心にしたという実例もあります。
あらゆる病気を避けたければ、やはり食事が一番大切ということですね。
病気ライフスタイルでの問題点
血糖値スパイクが悪化するとどのような病気や症状を生んでしまうリスクがあるのでしょうか? 現在確認されているのは、下記5症状+1
- 糖尿病
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- がん
- 認知症
- 精神障害
NHKスペシャルで挙げられていた行明の最後に「精神障害」をプラスしました。というのも、「ペットボトル症候群」で紹介したような症状は、今回の専門家の専門外のようで考慮されていないからです。
スポーツ科学では、数年前から糖分の取り過ぎによる低血糖症の予防のために「ペットボトル症候群」セミナーなどでも指導者にも教育が行われているからです。
血糖は血液中のブドウ糖の問題。そのため、血管が張り巡らされている箇所はすべて対象になります。 糖化による血管のつまりや細胞膜の破壊などでも、あらゆる病気の原因になり得ます。
NHKスペシャルでは認知症の関与として、脳の血管内に、アミロイドβが蓄積することがきっかけになり、認知症の原因になるアミロイドβが増加するとのことです。 調査でもアミロイドβが多い人は普通の人よりも1.5倍、認知症の発症が多いとのことでした。
このように血液が関わっている限り血糖値スパイク(グルコーススパイク)の影響が及びますので、手遅れのある治療ではなくすべては予防!だと思うのが大切ですね。
事故などとは違うので、気をつければ気をつけるほど日常生活でもより高い水準での活動ができるということです。 ランチ後にウトウトしているだけでも、人生の無駄づかいしかなかったということですね。
医学的なチェック方法
医学的根拠に基づいた検査をしたいのであれば、人間ドッグなどには含まれることが多い「75gブドウ糖負荷試験」が一番近いでしょう。
75gブドウ糖負荷試験
“血糖値スパイク”が起きているかどうかを調べる方法として、「75gブドウ糖負荷試験」というものがある。ブドウ糖が入った甘い液体を飲み、30分ごとに、2時間後までの血糖値を調べる検査だ。 >40~50代を襲う “血糖値スパイク”の脅威 – Yahoo!ニュース
人間ドック
人間ドックの結果があれば確認してみると載っているかもしれませんね。 新規に検査を行う場合は、病院によって対応できるできないがあるので、もよりの病院のホームページや、かかりつけ医に訪ねてみるといいでしょう。
人間ドッグを受診する場合、オプションになってることもあるので確認しておきましょう。
NHKスペシャルでの問題点
NHKスペシャルで発表された血糖値スパイクを抑える対策も、???と思うところがあったのでしてきしておきます。
予防より対処という専門家の立場
専門家の立場があるのでしょうが、どうしても火事をどう消化するか?という話で、防火についての話があまりありませんでした。 燃えているからどうするか?ではなく、燃やさないためにはどうするか?という視点の方が大切でしょう。
食べる順番(小手先)ですが、肉類は血糖値が上がりにくいとのこと。なのでおすすめの順番は、「野菜」→「肉」→「ごはん」とのことです。 食べ物は胃から腸で吸収されるのでたしかにこの順番の方がよいでしょう。 が、前提として定食のような食事の場合ですよね。
本来の和食はこんなにおかずをだすことはありません。一汁一菜のように高品質で少量な食事であれば、血糖値スパイク(グルコーススパイク)なんてそもそも発生しないのですから。
食事回数の根拠不足
また、朝食を抜かずに1日は3食にしたほうがインスリンの分泌が緩くなるとのこと。 根拠はよくわかりませんが、だったら4食、5食の方がよいのでは? なぜ3食になるのかの理由がありません。 それにそもそも、血糖値スパイク(グルコーススパイク)は食後に起きるのですから、食事回数が少なければ少ないほど食後自体も少なくなります。
逆に1日3食は戦後の習慣ですが、戦前の人や現在でも1日1~2食の人は「血糖値スパイク(グルコーススパイク)」、または「糖尿病」になっているのでしょうか? 現実には逆で、3食に増えた現代の問題になっているのではないでしょうか?
またトマトジュースや野菜ジュースは、自然なものをおすすめされていましたが、そもそも野菜は飲み物ではなく食べ物です。 治療ではなく予防法としては、栄養や血糖値という部分最適化の話ではなく、そもそも食とはなんなのか?という視点があってもよかったのではないかと感じます。
ただスイーツに関してはたまのご褒美程度が良い、というのはその通りだと思います。
ほかに食後の運動をすすめていますが、これも疑問です。1つは消化不良の問題。自然界を考えればシンプルですが、食後に運動するのはまれでしょう。運動というか活動は食前に行い(食べ物を得て)食事を行い休みます。 大きな理由が摂った糖分を吸収する前に消費するといのことですが、そもそもその余分な糖分を摂らないことこそが予防だからです。
ガソリンスタンドでガソリンを買いすぎたから、ちょっと走ってくるようなもの。 そもそも使い切れないガソリンを買わないのが理想だと思いますよ。
まとめ
最近発生する脳梗塞や心筋梗塞のなかには健康状態には異常がない方も多く原因が不明であった。 その原因になりうるのが今回の「血糖値スパイク(グルコーススパイク)」という見立てがでてきて血糖値の急激な上下はあらゆる面で健康状態に悪影響を及ぼすことが分かってきた。
この症状を予防する方法としてはNHKスペシャルでの方法は不十分なので、下記のような方法がある。
- 本質的な食事
- 食事量を減らしましょう
- 糖質を減らしましょう
- GI値の高いものを避けましょう
- ゆっくり食べましょう
- 食物繊維を先に、多く食べる
いわば上記のような習慣は、今まで人類が摂取してきた食事のポイントです。 病気や症状を追わないで、そもそもどんな食事をするべきなのか? から考えることができている人は心配はないでしょう。
思い当たる方で改善されたい方は、しっかりと説明できる内科医に相談してみるといいでしょう。 いろいろな先生がいらっしゃいますが、このページに書いてあるようなことくらいは踏まえた上でアドバイスをくれる方なら大丈夫でしょう。
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