自然死とは餓死なんです。 もう死に時がきているから欲しくない。 おなかが空かない、のどが渇かないから餓死なんだけど、全然本人にとっては、普通のことなんですね。 自然の流れなんです。 しかも飢餓状態っていうのは、頭の中から「エンドルフィン」というモルヒネみたいな物質がでるらしい。 気持ちよくなるらしい。 まどろみの中で、この世からあの世へ移っていくのが実は死ぬっていうこと。 人様には強要はしませんが繁殖を終えた人はもうそろそろ、考えた方がいいのではないかと。 中村医師は京都大学医学部を卒業後、内科医として京都の民間病院に勤務。 介護保険が始まった平成十二年から、京都にある社会福祉法人老人ホーム「同和園」附属診療所の常勤医となる。 「同和園」に来るまでは中村医師も「がんの末期の痛みをとるためには、麻薬を使うのが当たり前」と考えていたという。 「病院に勤務している頃は、胃がん、直腸がん、肺がん、肝臓がんなど、色々ながんを診てきましたが、大なり小なりの差こそあれ、患者さんはみなはっきりと痛みを訴えていました。 そして痛みを訴える人には必ず麻薬を使う。 それが常識だったのです。その常識が「同和園」に来て大きく覆されてゆく。 実際に「同和園」では、こんなことが起こっていた ◎52人全員が痛みがなかった 「このホームには麻薬をおいていなかったので、いくところまでいって、痛みが出たら病院に送ろうと考えていました」 しかしそれは杞憂に終わった。 病院でなんの治療もせずにホームに戻った山川さんは、痛みを訴えるどころか、コールタールのような黒い便が普通の便に変わり、食事ももりもり食べるようになった。 血液検査をしたところ、貧血も改善し、正常の域に達していった。 その後も痛みが出ず、外出するなど普通の生活をすることができるまで回復したという。 病院からは、余命はせいぜい二~三ヵ月と言われた山川さんは結局、一年近くも普通の生活を続け、最後まで苦しむことなく安らかに亡くなったというのだ。 ◎人間には“自然緩和力”がある そうした事例を知るまでは、筆者も、がんに限らず死ぬときは苦しいものと考えていた。 だが、取材を続けていくと、「自然な最期」は驚くほど安らかなものであり、医療に頼らなくても痛みを感じないという“事実”を知るようになった。 そんな例をいくつも見ていくうちに、筆者はある確信を得るようになる。 だが現在、この“自然緩和力”が使われることはほとんどない。 中村医師が言う。 「病気ではない“死”に対して、医療が過度に介入するから、人間の本来持っている力が生かされてないのです。人間の持っている自然な力を無駄な医療が邪魔しているのです。医療の本来の役割とは、人間が持っている自然の力を最大限発揮させることなのです」 二人に一人ががんにかかり、三人に一人ががんで死ぬと言われている時代である。 治療法は進化し、多種多様になっている。どの治療法を選ぶか悩む人も多いことだろう。 だが、そんなときに、「何もしないで完全放置する」という選択肢もあるのではないだろうか。 これだけの多くの人が、全く苦しむこともなく、安らかに亡くなっているという“事実”があるのだから。
悲惨ながん治療うらやましい大往生
人間という動物は、
新種のコロナですら倒す。
未知のウイルスに対する能力を用意してあるのに、死にたいしては無力とは思えん。
人生で自分を発揮できるかどうか。
そこが問われてるんだろう。